内田幸仁(うちだゆきひと)

【初春~晩春 生徒編①】

2023.05.19

さて、春の生徒編。今回はこの4月に中学生となった新中学1年生がたくさん応募をしてくれました。

トップバッターは「ぷくぷくまんじゅう」さんの作品です。

我無心 半紙に向き合い 筆を持つ 顔上げ目が合う 顧問と先輩

いいですね。はじめての中学、はじめての制服、はじめての部活。新入生の緊張感が伝わる素直に詠まれた歌です。先生ではなく、顧問という表現から、授業ではなく部活で書道を行っていることも伝わります。半紙に向き合い、筆を持ち、字を書く前か書いた後か、ふと顔をあげると、顧問と先輩が新入部員の自分を心配そうに覗き込んでいた、そんな景が浮かびますね。

さて、せっかくなのでレベルアップを図りましょう。「ぷくぷくまんじゅう」さんの短歌でもったいないと思ったのは字余り。初句で「わたし無心」ではなく「我無心」と5音を選択したのに、二句で「半紙に向き合い」と8音になってしまっている。同じように四句の「顔を上げ」を「顔上げ」とした工夫も、結句の「顧問と先輩」で8音。リズムが崩れてしまっています。まずは五七五七七のリズムを守ることで、自然と日本語固有のリズムが身に付きます。ちょっとやってみましょう。

「我無心」
我は主語だからなくても伝わる。では、無心を5音で表現してみましょう。
「半紙に向き合い 筆を持つ」
これを75のリズムに言い換える。半紙があれば、筆は持たせなくてよいかも。
「顔上げ目が合う 顧問と先輩」
顔を上げる=目が合うを一息で表現しましょう。
部活であることがわかれば、見ている人が顧問と先輩と明記しなくても伝わりそうですね。

【内田先生からの返歌】
心澄み 筆を半紙に 走らせる 先輩の目で 部室と気付く
⇒無心に書道にとりくんで、ほっとしたときに現実に引き戻される様子を表現しました。
はじめての 半紙をにらみ 筆をもつ ふと見上げれば 注目の的
⇒「はじめての半紙」で新入生の緊張感を「にらみ」でまだ書道に慣れていない不安さを表現しました。

 

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