~東京都品川区 1つにつなげられた駅編~
2024.02.02
みなさんこんにちは。
リンスタ社会科担当の白井です。
離れた場所にあるのに1つにつなげられた駅として有名なのがJR京葉線の東京駅ですね。ディズニーランドに行こうと新幹線で東京駅に着いた人が、舞浜駅に向かうために京葉線に乗り換えようと思うと、エスカレーターや動く歩道を使っても10~15分程かかります。京葉線のホームは地下深くにあるので、大きな荷物を持っての移動などは大変でしょう。下の地図を見ると、京葉線の駅は東京駅よりも有楽町駅のほうが近いことがわかります。
これだけ離れた場所にあるのに同じ駅にしている理由は乗客の利便性を考慮しているからです。もし、京葉線の東京駅が別の駅だとすると、新幹線から京葉線に乗り継ぐときには一度改札を出なければいけないことになり、料金も一度ここでリセットされるので別々に払わなければいけなくなります。遠く離れていても同じ駅にしておくことで、乗客は1枚の切符で通して乗ることができるのです。
ここで1つ、この駅に関する㊙情報をお教えしましょう。
新橋駅から電車に乗った人が京葉線を利用しようと思うと、山手線で2駅移動して東京駅に行き、長~い通路を通って乗り換えをしなければいけません。1つ手前の有楽町駅で降りて乗り換えたほうが近いのですが、ここで一度改札を出ると料金が別にかかって割高になってしまいます。実はこの乗り換えに裏技があるのです。有楽町駅で改札を出るときには自動改札を通らず、駅員さんのいるところに行って「京葉線の東京駅に行きたい」ということを告げてください。そうすると、1枚の案内用紙をもらうことができます。そしてそのまま京葉線東京駅の改札に行ってその用紙を駅員さんに見せると、そのまま改札を通ることができるのです。この方法を取ることで移動の時間も節約でき、料金が割高になることもありません。このような移動をすることがあったら試してみてください。
さて、前置きが長くなってしまいましたが、ここからが今回のテーマです。
以前のブログで、川を跨ぐように建設された駅として都営新宿線の東大島駅を紹介しました。この駅が川を跨いでいるのも、両岸の地区の利便性のためでした。ところが、今回紹介する京急電鉄の新馬場駅は、それとは異なる理由で川を跨ぐ駅となっています。
上の写真は、目黒川に架かる橋の上から撮ったものですが、赤い橋の奥に見える横長の建物が新馬場駅です。写真からも川の上を跨いでつくられていることがわかると思います。
では、この駅を地図で確認してみましょう。
地図中には2つの駅の位置を記してありますが、この2つの駅をよく見比べてみてください。北品川駅に比べて、新馬場駅の長さがとても長いと思いませんか? 両駅ともに各駅停車しか止まらない駅ですので、新馬場駅だけこんなに長くする必要はないはずです。駅の長さがこれだけ違うのには何か理由がありそうですね。
実はこの駅、かつては2つの駅に別れていたんです。
下の写真は、1960年代のものですが、目黒川の上には駅の構造物らしきものがありません。写真ではわかりにくいのですが、目黒川の北に北馬場駅、南に南馬場駅があります。この2つの駅の間はおよそ300mしかありません。きっと電車が走ったと思ったらすぐに止まるような感じだったのでしょう。近すぎる2つの駅は、運行上の支障にもなりそうですね。そこで、1970年代に、この区間の高架工事がおこなわれるのをきっかけに2つの駅を統合してしまおうということになったのです。写真でわかる通り、北馬場駅と南馬場駅の間には目黒川がありますので、結果的に川を跨ぐ駅という形になったというわけです。
ちなみにこの馬場という地名の由来なのですが、江戸時代の宿場町には伝馬役という義務が課せられていました。伝馬とは、馬を使って書状や荷物を運ぶことを言います。また、走って書状を運ぶ飛脚という仕事もあり、この馬や人を提供することを伝馬役と呼んでいました。馬も人もそんなに長い距離を走れるわけではありませんよね。ですから、各宿場に人や馬を用意しておくことで、宿場ごとにリレーしていく方式でものを運んでいたのです。その馬小屋があった場所を馬場と呼んでおり、南北の品川宿にはそれぞれ馬場が置かれ、北馬場、南馬場という地名のもとになったのです。
下の写真の左側が新馬場駅北口、右側が南口になりますが、さすがに元の両駅の位置まで駅の長さを長くするわけにはいかず、どちらの入り口も最寄りの道路からは少々奥まったところにあります。特に南口は40mほど高架化を進まないと改札にたどり着けません。
改札を入ってホームに来てみました。
京急の各駅停車は6両編成が多いので、全体の長さは100m強になります。ホームの長さは200mほどあるので、下の写真のようにかなりスペースを持て余していることがわかります。階段を上がったところには「電車はこれより30m先に止まります」の看板が掲げられていました。この駅では、発車のメロディを聞いて階段を駆け上がって飛び乗るというのは不可能ですね。危険な駆け込み乗車ができなくていいかもしれません(笑)
この駅、工事の途中ではまず下り線が先に統合され、後に上り線の工事が完成しました。つまり、下り線は1つの駅、上り線は2つの駅という状態が、短い期間ではありますが存在したのです。その際、統合されていない上り線は元のままの2つの駅名でしたが、1つになった下り線はどうなっていたと思いますか?
なんと「北馬場・南馬場」だったんです。車内アナウンスでも「次は北馬場・南馬場~」って言ってたのでしょうね。初めて乗った人は「えっ、どっちなの?」って混乱したことでしょう(笑) この状態は1年余りで終わるのですが、駅名もそのままにしておいたらおもしろかったのになぁ…と思うのは私だけでしょうか。
「?」はきっとそこにある
「?」を知ればおもしろい!
みなさんも、身近な「?」を見つけて楽しんでみてください。
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