白井亨(しらいとおる)

~山形県山形市ほか 山形にきてけろ編~

2024.01.05

みなさんこんにちは。
リンスタ社会科担当の白井です。

群馬県民なら誰でも知っているという上毛カルタには、「つる舞う形の群馬県」というのがあります。下のシルエットが群馬県の形ですが、どうでしょうか。鶴が飛んでいくように見えますかね? 私には、沖縄の海にいるマンタのように見えるんですけど…。

中学入試の問題でも都道府県の形を判断するというのは定番で、リンスタでは小4のカリキュラムで学習します。社会科担当の私は見た瞬間にすべての都道府県を判断できますが、他教科の先生に言わせると、それは「社会の先生ならではの特殊技能」なのだそうです(笑)
このほかにも、新潟県は恐竜に見えるとか、静岡県は金魚に見えるとか、いろいろと面白そうなものもありますので、みなさんもぜひその目で確かめてみてください。自分なりのイメージをして楽しんでみるのもアリだと思います。

県の形をそのままキャラクターにしてしまったのが千葉県のチーバくんですね。これはよく知られているキャラクターなのでみなさんも見たことがあるでしょう。でも、もう1つの「県の形を使ったキャラクター」がある都道府県は意外に知らない人が多いと思います。
それが今回のテーマとなっている山形県なのですが、まずはその形を確認してみましょう。
よく言われるのは「人の横顔」に似ているということなんですが、確かに見えますよね。山形県には、この形を使った〝きてけろくん〟というキャラクターがいるのです。ちなみに、この名前の由来は山形県の方言で「来てください」という意味の「来てけろ」だそうです。下の写真では隠れてしまっていますが、かぶっている麦わら帽子には、ちゃんと山形名産のさくらんぼもついています。この写真のきてけろくんは、新庄駅においてあったものですが、正面から見るとただの帽子をかぶったおじさんにしか見えませんでした(笑)

さて、なんだか途中で折れ曲がったような形の山形県ですが、なぜこんな形になっているのでしょうか?
その謎を解くカギとなるのが、日本三大急流の1つに数えられる最上川です。

日本の河川を長さの長い順に並べていくと、①信濃川(長野県・新潟県)、②利根川(群馬県、千葉県など)、③石狩川(北海道)、④天塩川(北海道)、⑤北上川(岩手県・宮城県)、⑥阿武隈川(福島県・宮城県)となっています。北海道の2つの河川を以外は、すべて複数の都道府県を流れていることがわかります。
ところが、その次に長い最上川は、山形県内だけを流れている河川なのです。

それでは、地図で最上川の流れを確認してみましょう。

どうでしょう? この流れの形から何かが見えてきませんか?
そうなんです。最上川の曲がり方と、山形県の曲がり方って同じですよね!
最上川の流域面積(降った雨が最上川に流れ込む範囲の面積)は山形県の約75%にもなり、その流域人口は山形県全体の約80%にもなるそうです。山形県民の多くが最上川の恵みを受けて生活しているということですよね。まさに「山形県の母なる川」というべき存在が、この最上川なのです。ちなみに、この写真は寒河江市で撮ったものです。この寒河江という地名も難読地名ですが、読めますか?

江戸時代の最上川は、山形県の物流を支える川でもありました。山形県内各地から集められた物資が最上川を下り、河口にある酒田市まで運ばれました。そこからは西廻り航路や東廻り航路を通って日本の各地に運ばれていきました。しかし、下の地図でもわかる通り、流域にあるいくつかの盆地を結んでいる最上川は、最初から水運に適していた河川ではありませんでした。

盆地というのは〝山に囲まれた平地〟のことですから、2つの盆地の間では両岸を山に挟まれたところがあるでしょう。川幅が狭くなっていることで、川の流れは速くなります。このようなところを船が通り抜けることは、なかなか難しかったようです。
そんな最上川を水運に適した川に改修したのが、江戸時代初期に山形を治めていた最上義光よしあきです。義光は川の狭い部分を開削し、沿岸に船着き場を整備するなどの工事をおこない、最上川を物流の大動脈にしていったのです。まさに、最上川によって山形県は1つになっていったといってもいいでしょう。義光の拠点となっていた山形城址には、下の写真のような立派な銅像が置かれています。

最上川を通って運ばれたものといえば、山形県の名産品となっている紅花ですね。水運によって京都や大阪に運ばれた紅花は、衣類の染料や口紅の原料として用いられました。山形で栽培された紅花は高級品として珍重されたそうです。

最上川を通って運ばれていったものとしてはもう1つ、米を忘れてはいけません。最上川河口にある酒田には米を蓄えておくための蔵が立ち並んでいたそうで、今でもその一部が保存されています。
稲作には豊富な水と夏の高温が必要です。北国の山形ですが、山形市は長いこと日本の最高気温の記録を維持していた町なのです。1933725日に山形市で記録された40.8℃という気温は、2007816日に熊谷市(埼玉県)と多治見市(岐阜県)で40.9℃が記録されるまでの70年以上の長きにわたって日本一だったのです。
余談ですが、1933年の山形市よりも上の記録は、すべて21世紀に入ってからのものです。こんなところからも地球温暖化が進行していることを感じますね。

暑い山形にはいくつかの〝ひんやりグルメ〟もあります。〝冷やしラーメン〟や〝冷たい肉そば〟などがその代表的なものでしょう。ちなみに、冷やしラーメンというのは醤油ラーメンの冷たい版で、よくある冷やし中華とは全く異なるものです。きゅうり、なす、みょうがなどの夏野菜を細かく刻んで味つけした〝だし〟も山形の定番グルメの1つです。ご飯にのせて食べると、暑くて食欲がないときでも美味しくいただけます。また、山形では夏の定番でもあるかき氷に酢醤油をかけるんです。甘いシロップに少しの酸味が加わることで、よりさっぱりとした風味になって暑さを和らげてくれるのだそうです。

山形市内を歩いていたら、下の写真の床屋さんを見つけました。

山形の床屋さんでは、洗髪をするのに冷蔵庫などで冷やしたメントール系のシャンプーを使うのだそうです。なかには頭にかき氷を乗せてからシャンプーをかけるところもあるとか…。
ちょっとわかりにくいですけど、左側ののぼりには「冷やしシャンプー始めました」って書いてあるんです。「おいおいそこは冷やし中華だろ!」って突っ込みを入れながら、暑い山形での町歩きを続けたのでした。

「?」はきっとそこにある
「?」を知ればおもしろい!
みなさんも、身近な「?」を見つけて楽しんでみてください。

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