~東京都新宿区 市谷柳町編~
2023.02.20
みなさんこんにちは。
リンスタ社会科担当の白井です。
ここは、都営大江戸線牛込柳町駅。
私が生まれたときに住んでいた家はこの近くにあったそうです。幼稚園に行くときにはすでに千葉に引っ越していたので、残念ながらここに住んでいた記憶はありません。
大江戸線には隣に牛込神楽坂駅があり、牛込というのがこのあたりの住所かと思ったのですが、なんと牛込が付く住所は存在しません。駅の住所は新宿区原町、駅名の後半部分の柳町が付く住所も新宿区市谷柳町、やはり住所に牛込は付きません。この牛込という地名はいったいどこから来たのでしょう?
調べてみたところ、かつてこの地に牛の放牧場があったことがこの地名の由来だそうです。牛込の北のほうには駒込という地名もありますね。駒は馬のことですから、ここには馬の放牧場があったのでしょう。また、大田区には馬込という地名もあります。ここも同じ由来なのでしょう。
地図で確かめてみると、牛込も駒込も馬込も台地上にあることがわかります。東京の台地は火山灰でできているものが多いですから稲作には適しません。台地というのは周囲より高くなっている平地のことですから、放牧に適した広い土地があったのでしょう。
1878年、東京にできた15の区の1つが牛込区でした。ですから、この駅名は「昔は広く牛込と呼ばれていた地域にある、あるいは昔の牛込区にある柳町」ということを表すものなのでしょう。
そういえば、この北には早稲田という地名がありますね。早稲田のあたりは、川沿いに低地が広がっていますので、その名の通り水田として利用されていたのでしょう。もしかすると、牛込で育てられた牛が、早稲田の水田で耕作に使われていたのかもしれませんね。
さて、我が家が千葉に引っ越した理由なのですが、どうもこのあたりの環境にあったらしいのです。
私の住んでいた家があったのは、下の地図中の市谷柳町交差点のすぐ南側でした。
よく見ると、この付近が周囲よりも低い地形になっていることがわかりますね。下の2枚の写真は、交差点から北と南を取ったものなのですが、両方向とも上り坂になっていることがはっきりとわかります。つまり、この交差点は谷底のようなところだということです。
私が生まれたころの東京は、大気汚染が深刻な社会問題となっていました。比較的交通量の多い道が交わるこの交差点は、よく渋滞が発生していたそうです。また、どちらから来ても上り坂となるため、平坦な道を走るときに比べて、よりエンジンをふかしていたことでしょう。自動車の排気ガスの規制も今よりは緩く、有害な物質も多く排出されていました。その汚れた空気が、谷底のような地形のこの交差点付近に溜まってしまい、一時は都内でも有数の大気汚染スポットとなっていたそうです。そんな環境に住んでいた私の健康状態が悪化したことをきっかけに、空気の良い千葉に移り住んだということなのです。千葉に住むようになってからはすっかり健康になったようで、このときに引っ越しを決断してくれた両親には感謝しなければいけませんね。
でも、このあたりに住んでいたら通勤は楽だったなぁと、ちょっとだけ思ったこともまた事実です(笑)
交差点付近にはたくさんのマンションが立ち並んでいました。周囲を見回しても記憶を呼び起こすものは何もないのですが、おそらく私が暮らしていたころとはまったく違う風景なのでしょう。当時と同じなのは、この坂道だけなのかもしれません。
「?」はきっとそこにある
「?」を知ればおもしろい!
みなさんも、身近な「?」を見つけて楽しんでみてください。
前回の記事はこちら
- 小学生
- グループ指導
- 個別指導