~新潟県・福島県 11年ぶりに復旧したJR只見線編~
2023.01.11
~新潟県・福島県 11年ぶりに復旧したJR只見線編~
みなさんこんにちは。
リンスタ社会科担当の白井です。
2022年10月1日、JR只見線が11年ぶりに全線復旧したというニュースは、新聞やテレビでも数多く取り上げられていましたね。
只見線は、会津若松駅(福島県会津若松市)と小出駅(新潟県魚沼市)を結ぶ、全長135.2kmのローカル線です。下の2枚の写真は列車内から撮ったものですが、車窓にはこのような川沿いの美しい風景がずっと続き、海外の新聞にも「世界一ロマンチックな鉄道」として紹介されたほどの魅力的な路線です。4時間半ほどの長旅でしたが、きれいな川の景色を眺めていたらあっという間に終点に着いてしまいました。
この川の名は「只見川」で、会津盆地で阿賀野川(福島県内では阿賀川)と合流して日本海に注ぎます。
只見川は「水力発電所が数多く建設されている川」として知られており、ここでつくられた電気は首都圏にも送られ、私たちの生活を支えてくれています。地図を見ても、只見線が只見川に沿ってくねくねと曲がりながら走っている路線だということがよくわかりますね。
この只見線が不通となったのは2011年7月30日のこと。新潟県・福島県を襲った豪雨によって只見川が氾濫し、複数の橋梁が流出してしまったのです。
ここで1つ「?」が浮かびました。
水力発電をするにはダムの建設が必要です。只見川流域には奥只見ダム、田子倉ダムなど多数のダムが建設されています。リンスタで使っている小4のテキストにも、「ダムには,水をたくわえるほか,こう水をふせいだり,水の力で電気をおこしたりするはたらきもあります。」と表記されています。これらのダムによって、川の流量を調整することはできなかったのでしょうか?
テキストには、ダムのはたらきが3つ書かれていましたが、すべてのダムにその3つが備えられているわけではありません。ダムはその目的によって大きく3つに分けられるのです。
洪水を防ぐことを目的とするのを「治水ダム」、水力発電を目的とするのを「発電用ダム」、水道など水の利用を目的とするものを「利水ダム」といいます。さらに、複数の目的を併せ持ったダムもあり、これは「多目的ダム」といいます。観光地としても有名な黒部ダムは発電用ダム、かつて建設の是非が話題になった八ッ場ダムは多目的ダムです。
只見川に建設された数多くのダムは「発電用ダム」のみで、治水を目的としたダムは1つもないのです。
水力発電は、水が高いところから低いところに落ちる力を利用してタービンを回して電気を起こすしくみです。水の力を得るためにはダムの水位をある程度の高さに保っている必要があります。
通常から満々と水を湛えているところに大量の雨が降ったわけですから、ダムの水位はすぐに限界に達してしまい、決壊を防ぐためには水を次々と放流しなければならなかったのでしょう。一気に水量の増した只見川の流れは激しいものとなり、複数の橋梁を押し流してしまったというわけなんですね。
2011年といえば東日本大震災が起こった年です。
広い福島県は、海沿いの「浜通り」、福島市や郡山市などの主要都市がある「中通り」、新潟県境に近い「会津」の3つの地域に分けることができます。
福島第一原子力発電所の事故は、浜通りだけでなく中通りにまで影響を及ぼしました。会津にはその影響はほとんどありませんでしたが、豪雨によってこんな大きな被害が出ていたんですね。原発事故のことがあまりに大きくて見落としがちですが、2011年という年は福島県全体にとって大変な年だったということになります。只見線の復旧は、そんな福島県の人々の願いが込められているのでしょう。沿線には「おかえりなさい只見線」といった旗や看板を随所に見ることができました。
復旧したばかりということもあって観光客もたくさん乗っており、途中の駅でも賑やかな歓迎の様子が見られました。しかし、もともとは過疎地域を走るローカル線。地元の方の利用は決して多くないのです。この賑わいもいつまで続くかわかりません。沿線人口も決して多くないということもあり、全線通して運転される列車は、なんと1日3往復。「超」がつくくらいの過疎路線なのですから・・・。
11年もかけて復旧した鉄道です。それだけの時間とお金をかけたのですから、なんとかこれを活用していく方法を考えてほしいものです。この風景を眺めながらゆっくりと食事を楽しめる観光列車などあったら最高だなぁ・・・なんて思う人たちも多いのではないでしょうかね。私もその1人です。
「?」はきっとそこにある
「?」を知ればおもしろい!
みなさんも、身近な「?」を見つけて楽しんでみてください。
前回の記事はこちら
- 小学生
- グループ指導
- 個別指導