白井亨(しらいとおる)

~新潟県燕市・三条市 燕三条駅編~

2022.12.03

~新潟県燕市・三条市 燕三条駅編~

みなさんこんにちは。
リンスタ社会科担当の白井です。

2022年に開業から40周年を迎えた、東京と新潟を結ぶ上越新幹線。
それまで、在来線の特急「とき号」で4時間以上かかっていた東京~新潟間を、新幹線「とき号」は2時間もかからずに結んでいます。2023年には1時間半を切る予定とか・・・。便利になったものですね。そのかわりに、高崎駅から長岡駅の間はトンネルばかり。きれいな山の景色を楽しめる区間は少なくなってしまいました。

そうそう、本題とは関係ありませんが、上越新幹線のトンネルにはちょっと面白いところがあります。
上り東京行きの列車が上毛高原駅を過ぎると、「中山トンネル」という長いトンネルに入ります。このトンネルに入ってしばらくすると、それまで快調に飛ばしてきた列車が、なぜか減速するのです。
地形図を見てもわかりますが、このトンネル、途中で不思議なカーブを描いています。もともとはまっすぐ建設する予定でしたが、工事途中での大量出水によってルート変更を余儀なくされたのですね。このカーブを、新幹線は全速力で通り過ぎることができないのです。みなさんも上越新幹線に乗ったときには、ちょっと気にしてみてください。

さて、本題に戻しましょう。新潟駅を発車した新幹線の最初の停車駅は「燕三条駅」です。

駅名からもわかる通り、この駅は洋食器の生産で知られる燕市と、刃物の生産で知られる三条市の2つの市の名からつけられています。燕市の洋食器は、世界的にも品質の高さが知られており、過去にはノーベル賞の晩餐会でも使われたことがあるそうです。三条市の越後三条打刃物も歴史のある工業製品で、伝統的工芸品にも指定されています。どちらも、もともとは農家の副業として釘を作っていたとか・・・。隣りどうしの町ですから、似たような産業が生まれ育ったのか…と思いたいところですが、実はこの2つの市、昔からあまり仲が良くなかったようです。
そんなこともあり、上越新幹線の開業によってこの地域への駅の設置が決まると、2つの市の間でちょっとした争いが起こったのです。

では、いつもの地理院地図で、燕三条駅を見てみることにしましょう。

地図中の赤い点線は、燕市と三条市の市境です。
ご覧の通り、この駅は2つの市の境に位置しています。新幹線のホームは南側が三条市、北側が燕市、在来線のホームは燕市になっていることがわかります。「そうか。だから2つの市の名をとって燕三条なんだ!」と思いますが、この駅名が決まるまでが大変だったのです。

駅名を決めるにあたって、三条市は「新三条駅」を、燕市は「新燕駅」を、それぞれ主張しました。それではということで、両方の地名を入れた駅名にすることになったのですが、今度はどちらを先にするかということで意見の対立が生まれたのです。つまり、「燕三条」にするか、「三条燕」にするかということですね。双方譲らず、結局は次のような形での決着することになりました。

駅の名称は「燕三条駅」とする。ただし、駅の住所を決める駅長室は三条市側に置いて所在地は三条市とする。

なんだかなぁ・・・・という感じですが、両市の人々にとっては大問題だったのでしょう。
ちなみに、この調停をしたのは、あの田中角栄元首相だそうです。

実は、もう1つこの場所に設けられた施設があります。それが、北陸自動車道のインターチェンジです。下の地図を見てもわかる通り、燕三条駅のすぐ近くにあって、やはり両市の市境付近にありますよね。

この施設の名は「三条燕」インターチェンジ。
もうおわかりだと思いますが、所在地は燕市になります。はぁ・・・・・。

米どころとして知られる新潟県ですが、新潟市は2022年のラーメン支出額全国第1位だそうです。その新潟には四大ラーメンというのがあり、燕市が発祥で三条市にも広まっている「燕三条背脂醤油ラーメン」もそのうちの1つに数えられているそうです。ラーメンくらいは両市で仲良くやってほしいものですよね。

「?」はきっとそこにある
「?」を知ればおもしろい!
みなさんも、身近な「?」を見つけて楽しんでみてください。

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