桑名正和(くわなまさかず)

ヤブランとシュンラン~森林の下草

2025.03.21

 青空と、木々がおいしげった山の光景はきれいでいいですね。
心地よい気候のときには自然の空気を吸いたくなるものです。

 中学受験の理科では森林にはえている植物についても学習します。
森林の植物は実にさまざまですから、すべて覚えようとしたらとても大変です。
学習する際には、森林の植物を仲間分けしていきます。

高く成長する樹木は「高木(こうぼく)」です。
皆さんが普段「これは木だ」と思っているものはおそらくほとんど、高木にあたります。
サクラ、スギ、イチョウなどなどです。10mを越えて高く成長することもあります。
それより低く、成長しても3m程度の高さにしかならないものは「低木(ていぼく)」です。

さらに、低いところ、足元付近も、地面がむき出しになっているところはあまりなく、草が生えています。
足元に生えている草が「下草(したくさ)」です。

山の中や森の中を歩いていても、前をみて進んでいれば、あまり足元に生えている草に注目はしなさそうです。
ですから、下草とよばれる草は名前を見てもぴんとこないかもしれません。
今回はそんな下草として登場する植物を2つ紹介します。

まず、こちらがヤブランです。

ヤブランは細長い葉と紫色っぽい小さな花をたくさんつけているのが特徴です。
なんか見たことあるかも、となるかもしれません。
1011月頃に花をつけたヤブランを都会でもかなり見かけます。
ヤブランは公園やビルの片隅など、幅広く植えられています。
もともとヤブランをはじめとする下草が生えている場所は森の中です。
上は高木がたくさんの葉を広げていますから、中には日差しがほとんどありません。
そういう中で生えているので、ヤブランなどの下草は弱い光でも成長できる「陰生植物(いんせいしょくぶつ)」なわけです。
陰生植物は小学6年生であればなじみがある言葉かと思います。
光があまりあたらない建物のわきでも枯れることが少ないということで、ヤブランは好んで植えられていると考えることができます。

つづいてこちらがシュンランです。

 シュンランが小さな白い花をつけているのは3月頃です。
 日差しが暖かく感じられる時期にシュンランが花をつけます。

ヤブランはキジカクシ科ヤブラン属
シュンランはラン科シュンラン属です。

いずれも「ラン」という名前がついていて、葉の形もやや似ているのですが、別の仲間に分類されています。
シュンランは漢字で「春蘭」、字の通り春に花をつけるランという意味がわかります。
一方のヤブランは漢字で「藪蘭」、やぶの中にはえているラン、ではなく、やぶの中に生えているランのような花、ということらしいです。
葉は似ていますが、花の形を見ると別の種類でありそうなことはわかります。

足元に静かに生えている植物は身近にあっても気がつきにくいものです。
時に目線をおろしてみると、新しい発見があるかもしれません。

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