カタクリ~雑木林の足元に
2025.03.11
まだまだ肌寒い日が続いていますが、晴れると日差しがだいぶあたたかく春の心地よさをかんじます。
公園の植物も少しではありますが、葉が増えてきました。
小学4年生の理科ではまず春の植物について学習します。
「春」といっても、3月と5月では見られる花がだいぶかわってきます。3月の今だからこそ見られる植物は見逃さないようにしたいところです。
3月に花を見る植物といえばこちらです。
足元低いところに、地面から、先がとがった大きな葉をのばし、その先に薄紫色の花をつけた植物を見つけました。この花はカタクリです。
教材には、雑木林などの山林で花を咲かせる草の1つとしてフクジュソウとともに登場します。
カタクリとフクジュソウはひとくくりにされることが多いのですが、フクジュソウが咲き始める2月には土の上に何も見えない状態で、カタクリは2月下旬ころからに葉と出し始めます。
カタクリはユリ科カタクリ属の植物です。ユリ科といえば、チューリップ、ヒヤシンスなどがあります。いずれも地面から出た葉の形状がよく似ています。
カタクリの花ならではの特徴といえば、花が下を向いてさいていることです。
おしべ、めしべが下に向かってのびているのが見えます。
花が下向きというのはかなり不思議な咲き方です。
植物が花をつける目的は、昆虫に花粉をはこんでもらうことです。飛んでいる昆虫が花を見つけて花にとまるのであれば、上向きに花をつけているほうがいいことになります。
カタクリに飛んでくる昆虫はマルハナバチの仲間が多いという研究結果もあるようで、まだ空気が冷たい3月ですから、地面の近くを飛んでいて下向きに咲くカタクリの花をみつけやすいのかもしれません。
また、カタクリが生息しているのは山のほうですから、下向きのほうが雪が上にのって花粉がつかなくなってしまう心配もないとも考えられます。
カタクリといえば料理でもおなじみの「片栗粉」が有名です。
カタクリは地下の鱗茎にでんぷんをためていて、それを取り出したものが「片栗粉」です。
ただ、最近売られている片栗粉はジャガイモからつくられているものが多く、正式には「じゃがいも粉」なようです。
カタクリの花が咲き終わったら、夏の間は葉も残さず鱗茎にでんぷんをたくわえた状態で次の春を待ちます。春にカタクリの花が咲いていた場所を夏に訪れたときは、カタクリが咲いていたあとかたはまったくなく、別の光景が広がっていました。
皆さんも、今の時期だけに見られる光景を探してみましょう。
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