「タイが赤いのはなぜ?」にどうこたえる?
2024.12.24
昔撮った写真を整理していたら、水族館で泳ぐ魚の群れの写真が出てきました。
水中を泳ぐ魚の光景はいいものですね、ずっと見ていたくなります。
それにしても、赤い魚が目立つ。赤い魚といえばタイですね。
他の魚が全体的に青みがかっているのに対して、合成でもしたのではないかというくらいにくっきりと赤くうかびあがった光景です。もちろん、合成などはしていません。ですが、画面から飛び出しそうなくらいに赤が目立っています。
眺めているうちに、「タイが赤いのはなぜ?」という疑問がうかびました。
理科を学んでいく上で「色の科学」も大事な要素です。色というのはなぜその色の見えるのか。
今回はせっかくなので、タイが赤い理由をどう答えるか、についてふれていきます。
ずばり答えは、としていないのは、この問題に対する答え方というのはいろいろあるからです。テストの問題としてでてきた場合は、どういう意図で作られている問題かを理解したうえで、出題者が求めている答えをかく必要があります。
広く生物の世界で「赤いのはなぜ?」というと、それは「赤いことで何か生きていく上でいいことがあるの?」ということになります。今読んでくださっている皆さんの多くも、そういう意図で考えてくれているのではないでしょうか。
実際、生きていく上で不利であれば生き残れない=「絶滅」を意味します。この写真の場合、遠くからサメのような天敵が狙っているとしたら、他の魚に対して、1匹だけ赤が目立つ魚をつかまえにくる可能性があります。タイは別に絶滅せずに今でも食卓にのることがありますから、生きていく上で問題はないということになります。それどころか、実は生きていく上で有利、というのがここの結論です。タイが生息している場所は海底200m程度までの深さ、「大陸棚」とよばれている部分。普段ヒトが潜るような深さではないですが、それくらいまで深いところになると、太陽からの光はかなり弱くなり、薄暗く青く光る世界です。
写真でも全体的に青く見えます。
海が青く見える理由は以前熊代先生が紹介していました。
水が赤い光を吸収して、青い光が残されるから、でしたね。
赤い色をしたタイですが、海中で遠くからタイのいるほうを眺めたときに、タイから発せられる赤い色は水に吸収されるので、その赤は届かず、遠くからタイの姿がほとんど見えなくなります。赤い色をしていることが実は身をかくせる手段というわけです。
では、この写真は?
まあ水族館ですから、まわりの照明がさしこんで海底よりはかなり明るい状態です。
タイからしたら、目立つからかんべんしてほしい、そんな光でしょうね。
ここまでが、生きていく上での赤い色の理由です。
次に、「赤いのはなぜ?」に、「どうやって赤という色をつくっているの?」という側面から答えることもできます。
こちらはタイが普段食べているものから説明できます。タイが食べるエサは小さめのエビなどです。エビ・カニに含まれる色素アスタキサンチンは健康補助食品としても知られています。一般的にタイ釣り用のエサを調べても赤い色をしたものが多く、タイは赤いエサをたくさん食べてそれを体の一部に、自分のからだを赤くするために、赤いものをたくさん食べるという努力をおこたらないようです。
自分のからだを赤くして生き残るという生存戦略がうかがえます。
水族館などで魚を見る機会がありましたら、色にもぜひ注目してみてください。
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