桑名正和(くわなまさかず)

ダンゴムシのからだのつくり

2024.10.18

 公園にある大き目な石をどかすと、その下からあしがたくさん生えた生き物が動き出すことがあります。
あまり触れたくないものもいますが、毒などがなく安心できるものがダンゴムシ。
ダンゴムシは石のかげとかが好きな印象ですが、たまに道路など目立つ場所を静かに歩いていることも。ちょっとつつくと一気に体をまんまるにして足を体の内側へしまいこみます。

 小学4年生の理科では昆虫について、体のつくりや生活の仕方などを学習します。ダンゴムシは「昆虫に似た動物」として一緒にとりあげられています。ダンゴムシはあしが14本、つまんで体をうらがえすと14本のあしが小刻みにうごくのが見えます。「ムシ」とはついていますが、昆虫最大の特徴であるあしの本数が6本ではないですから、昆虫ではありません。

 では、ダンゴムシはどういう仲間分けがされているかというと、節足動物門軟甲綱(なんこうこう)ワラジムシ目となっています。
 昆虫の特徴はあしが6本という以外に、からだが頭・胸・腹の3つの部分にわかれているというのがあります。ダンゴムシは・・・全体がつながっていて3つの部分があるようには見えず、このあたりも昆虫と違うところかと。

 ところが、ダンゴムシも昆虫と同じように3つの部分にわかれています。図にするとこのようなかんじです。

 ダンゴムシも頭・胸・腹の3つにわかれており、胸の部分からあしがでています。あしは14本ありますから、昆虫よりも胸の部分がかなり広くなっています。頭からは触角がでているところは昆虫のつくりと同じです。

 節足動物門軟甲綱というのはあまりなじみがない名称ですが、同じ仲間にはエビやカニがいます。生物分類は基本的に見た目が大事です。ダンゴムシの独特のからだのつくりは足のはえかた、からだを覆っているから(甲羅)の部分など、色は違いますがエビに似ています。

 公園や道路などの平坦な地面にいるダンゴムシは常にまっすぐ歩き続けています。歩き続けているダンゴムシはやがて壁にあたります。つきあたると、体の向きをかえるのですが、つきあたったときに右に曲がるか左に曲がるかという迷路実験がされています。右に曲がった次は左、左に曲がった次は右、と左右交互に曲がり続けるというものです。曲がってから次のつきあたりにたどりつくまでの距離が短いほど交互にまがっていくようです。

 人間も森で迷子になるようなことがあったら(ないとは思いますが)できるだけ、先に進めるように、右にまがったあとは左にと、結果として先のほうへすすめるように考えながら曲がっていくかと思います。森でなくても、さっと眺めた地図で明確に道順を決めずに目的地まで向かうときには、曲がり角を交互に曲がりながら、目的地に近づこうとしますよね。このあたりダンゴムシもヒトも本能的なものなのかもしれません。

 ダンゴムシが何を食べているか、普段見かけることはあってもあまりわからないものです。しかし、その食欲はすさまじいものがあります。かつて容器に落ち葉1枚とダンゴムシ1匹を入れておいたら、翌朝、落ち葉はすっかりなくなっていました、ということがありました。ダンゴムシ1匹で魔法をかけたようなかんじです。落葉樹の森林に、秋になると大量に落ちる葉は誰が掃除するわけでもなく、大量のダンゴムシがきれいにして土に戻してくれていることになります。

 昆虫とは少し違った不思議な性質をもつダンゴムシですが、そんな他と違った特徴があるせいか入試問題の題材としても時折見かけます。
 公園のかたすみにずっとあるような石、少し動かしてのぞいてみませんか。

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