近年話題の条件付特定外来生物
2024.08.08
7月後半、午前中は青空が広がって真夏の蒸し暑さ。
それが一転して記録的な大雨に。夏らしいといえばそうなのですが、めぐみの雨は適度に降ってほしい。
雨上がりの翌日、都心を流れる神田川の岸壁にカメの姿を見かけました。どこからか流れてきたのだろうか。翌日同じ場所を見たら、別の場所に移動したのか、もう姿はありませんでした。カメは公園の池とかでも、けっこう見かけることがあります。
そんなカメなどが話題となり、ここ2年ほど中学入試問題にかなり多く取り上げられました。
表題にある「条件付特定外来生物」にアカミミガメ(通称「ミドリガメ」)が指定されたことによるものです。今回は「条件付特定外来生物」についての説明をしておきます。
まず、「外来生物」について。こちらは、小学4年生の教材でも掲載されているものです。
「外来生物」とは、もともと日本には生息しておらず、海外から持ち込まれた生物。沖縄に持ち込まれたマングースのような動物の他、セイヨウタンポポやシロツメクサなどの植物もそれにあたります。「帰化植物」「帰化動物」というと、海外から日本に持ち込まれて自然繁殖している植物・動物を指しますが、「外来生物」は自然繁殖していないものも含んでいます。
「特定外来生物」は「外来生物」の中でも人体、農作物、他の生物をとりまく環境に影響を与えるものが指定されています。環境省のホームページでは2024年7月1日時点のものとして哺乳類25種類、鳥類7種類、爬虫類22種類、両生類18種類、魚類26種類、昆虫27種類、甲殻類6種類、クモ・サソリ7種類、軟体動物等5種類、植物19種類が掲載されていました。かなりたくさんの種類があげられていて、それだけたくさん日本に海外の動植物が入っていることがわかります。
肉食魚のアリゲーターガーが川で発見されたニュースを見ることもありました。
気がつかないだけで、いるはずのない海外の生物が身近に住み着いていることはあるようです。
特定外来生物に指定されている生物は飼育や運搬が禁止となっています。動物園や水族館で育てているものはいいの?となりそうですが、環境省に申請書類を提出して許可を得て飼育することができます。国として、どの生物がどこにいるということを把握しておくということです。
「特定外来生物」の中に日常生活で見かけるものが2つ指定されています。それが、アメリカザリガニとアカミミガメ(通称「ミドリガメ」)。私が小学生のときは学校の教室で水槽にアメリカザリガニが育てられていました。盆踊りなどのお祭りの際には、金魚すくいと同じ扱いで小さいカメがたくさんいたような。
環境省のホームページではアメリカザリガニがたくさん日本にいる理由もかかれています。1927年にウシガエルのエサとしてアメリカからもちこまれたものが逃げて繁殖した、とのことです。授業の中で生徒に確認すると、近所の池や川にアメリカザリガニがいるという声はたくさん聞かれました。
2023年6月1日に「条件付特定外来生物」にアメリカザリガニとアカミミガメが指定されたことで話題になったことで、2023年と2024年の中学入試ではかなり多くの学校が「条件付特定外来生物」をテーマにした問題が出されました。「条件付特定外来生物」に指定することで、これまでにあいまいだった飼育などの基準をわかりやすくした意味合いが強そうです。
「特定外来生物」は飼育に届け出が必要ですが、アメリカザリガニとアカミミガメを「条件付特定外来生物」に指定することで、届け出なしに飼育し続けることができます。一方で飼育をやめて池や川に逃がすことは禁止で、罰金などがあります。一度つかまえたら、最後まで育てる必要があります。
ふと疑問に思ったことが。川や池で釣りをしていたら、たまたまアメリカザリガニがかかってしまった、さてどうしよう、と、そんな場合です。
こういったケースも環境省ホームページに記載がありました。「条件付特定外来生物」だけではなく、特定外来生物はその場ですぐに放すキャッチアンドリリースは問題ないとのこと。
公園などでたまたま見かけた生物は、知らずに持ち帰るとあとから逃がせない生物であることに気がつくかも。それは大変でしょうから、身の回りの生物は基本的に「見て」楽しむ、にとどめましょう。
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