ムスカリの咲く光景
2024.04.24
3月末、あいにくの雨の中、通りかかった公園で紫色の花が足元に広がる光景を見ました。
小学6年で森林の植物を扱う際に出てくる下草の1つであるヤブランに似ている気もするけどちょっと違います。調べてみたらムスカリのようでした。
この紫色の花をつけるムスカリですが、最近民家の植木鉢とか、街路樹わきとかかなりいろいろなところで見かけます。急速に広まったのか、いままであまり気づいていないだけだったのか。
ムスカリはもともとユリ科に分類されていたものが、遺伝子をもとにしたAPG分類体系でユリ科から分離されて、キジカクシ科になりました。APG分類体系による科の変更といえば以前オミナエシを紹介しました。キジカクシ科という名前はあまり聞かないですが、同じ仲間には、野菜の1つとしておなじみのアスパラガスがあります。アスパラガスもユリ科からキジカクシ科に変更になりました。
ユリ科の植物はチューリップをはじめ、葉先がとがった単子葉類の多くが属していたのですが、遺伝子が調べられていくうちに、かなり遺伝的に遠い植物が混ざっていることがわかり、いくつかの独立した科がつくられました。
ムスカリは、地球海沿岸からアジア西側にかけてが原産、明治時代以降にヨーロッパから日本にもちこまれた植物です。寒さにも暑さにも強いことで日本でも育てやすいことから、多く植えられているようです。
ムスカリはこじんまりとした花が特徴的、さらに寄ってみてみました。
袋状に下向きに開いた花がブドウの房のようについています。
花をつけるのは3~4月、花がさきおわると、地上部はかれて地下に球根を残します。咲いた後の花は種子をつけ、種子が発芽することでも新しい個体をつくります。球根のほうが育つのがはやく、種子からは花をつけるまでに数年かかるので、球根から育てることが多いようです。
春先だけに花をつけるという特徴はカントウタンポポなどと同じです。落葉樹が葉をつけていない時期、春の日差しが地面まで降り注ぐので、光合成して開花、球根に栄養を送ります。落葉樹が葉をつけた夏は休眠して次の春を待ちます。
都会の公園でも森林生態系の一部が見られるものです。
次の季節には何をみせてくれるか楽しみです。
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