オオスカシバ~蛾に見えない蛾のなかま
2023.10.27
青空がきれいな秋は、オレンジ色をしたコスモスが色あざやかで、そんな中を多くの昆虫が飛び回っています。先日体がやや太めな昆虫がしきりに羽をはばたかせながら蜜を集めている光景を見ました。
ハチ?いや、それにしてもちょっと違う。近くには黒くて大きなハナアブも飛んでいたのですが、それとも明らかに違う。体の色はウグイス色とこれまためずらしい。もうちょっと近づいてみると。
なんとも不思議な模様。
という、この昆虫はオオスカシバのようです。
昆虫の仲間、チョウやガを大きくまとめた鱗翅目(りんしもく)の中のスズメガ科。スズメガ科はそのなかまがたくさんいて、夜電灯のまわりに集まっているものや、建物の外壁にとまってじっとしているような茶色のガが代表的なものです。
それと同じガの仲間なのですが、ガの仲間であることを思わせるのは体の太さと触角の大きさくらいです。
これが「蛾」?と疑問に思ってしまうのは、なんといっても鱗粉がないことからでしょうか。
「鱗翅目(りんしもく)」という分類は字の通り「鱗粉(りんぷん)」をつけた翅(はね)をもつ仲間です。
アゲハやモンシロチョウなど、見て何のチョウかがわかりやすいのはそれぞれのチョウ特有の翅の色をつけているから。その色は鱗粉とよばれる粉が数十万もついています。チョウを手でさわると手に翅の色がつくということは、鱗粉はとれやすいということを意味していて、鱗粉がすべてとれると透明な翅になります。
トンボやセミなど昆虫は透明な翅をもつが多いのでチョウやガの翅に色がついているほうが特殊なのですが、オオスカシバはガなのになぜ翅が透明に?というと、ハチに姿を似せる「擬態」をすることでハチにおそわれにくくした進化と考えられています。たしかに、私が見たときも一瞬ハチかとどきっとしました。
一方で、チョウの仲間は鱗粉をもつことでオスとメスの判別ができます。ヒトの目にはわかりませんが、太陽の紫外線を受けるとオスとメスでひかり方が違うので、飛び回っていてもお互いの雌雄の見分けができているといわれています。オオスカシバは鱗粉がないので、雌雄の判別はできません。では雌雄の違いはどこなのか、というと、触角の色のようです。オスのほうに白い線がはいっています。飛んでいるときも触角はあまり動いていませんからここなら判断できそうですね。
皆さんのまわりの花にはどんな昆虫がいるでしょうか。
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