水の上に葉を広げるスイレンの不思議
2023.09.01
暑い夏、強い日差しの中、植物が元気に育っています。
陸上生活をしている動物は少しでも木陰で涼しくすごしたいでしょうから、強い日差しのある場所は鳥も虫も少ない気がします。
そんな暑い夏、水辺はいくらか涼しさを感じさせてくれます。
今回はそんな水辺の植物を紹介します。
水にまるく葉を広げているのはスイレンです。夏にはところどころに花をさかせているのを見ることができます。
スイレンはスイレン科。スイレンだけの独立した科になっています。
水面の上には葉だけをたくさん広げていますが、水面の下では地下茎が広く伸びて、1枚1枚の葉につながっています。
理科的な話を1つ。スイレンは水面に浮かぶ葉のために、他の植物とは大きくちがう葉の内部構造があります。それが気孔です。それなりに学習している受験生ならぴんときそうですね。
気孔は葉や茎にある孔辺細胞という2つの細胞にかこまれた穴です。気孔を開くことで空気中の二酸化炭素を葉に取り込み、光合成をして栄養分をつくっています。多くの植物で気孔は葉のウラについています。雨にぬれにくい、ほこりがたまりにくいなど、よくできた植物の進化といえます。一方で、スイレンは・・・
葉のウラが水につかっているので、葉のウラの気孔では二酸化炭素を取り込むことがでず、これでは致命的です。そんなスイレンですが、気孔は葉のウラではなく表に分布しています。たしかに気孔を説明している教材をみると「ふつう気孔は葉のウラに多く」とすこしぼやかしたような表記になっています。
それぞれの植物が、生活しやすいからだのつくりをしているようです。
水辺にスイレンを見かけたら、葉にも花にも注目です。
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