暑い夏にミンミンゼミの鳴き声
2023.08.16
今年の夏もとにかく暑い日が続きます。東京は35度以上の猛暑日が過去最高を更新しました。夏が暑いのはすべての生き物に共通でしょうが、公園の前を通るとセミの元気な鳴き声が響き、夏の暑さをものともしていなさそうです。かなり大きな鳴き声が響き渡るので、どこにいるのかと見上げてみるのですが、不思議となかなか見つからない。木の幹の色にうまくなじんでいるようです。
セミはカメムシ目の昆虫。アブラムシもカメムシ目で、アブラムシとセミは1つの仲間としてくくられます。
鳴いているセミはすべてオス。鳴いているところををじっと観察すると腹を小刻みにふるわせているのがわかります。セミの腹の中に空洞があってその中にある発音筋という筋肉が振動しています。鳴いているオスにメスが反応して近づいていきます。
しばらく木を眺め続けていると、いました。青緑色っぽい頭に透明なはねをしているこちらのセミが、都会の代表といってもいいミンミンゼミです。緑色っぽいと目立つのではとも思うのですが、こうやってみると、木の幹も生えているコケのせいでうっすらと緑色っぽくなりセミもかなり似た色をしています。遠くからだとなかなか見えないのも納得です。
私が生活している周辺ではミンミンゼミはかなり多い印象ですが、全国的にみると不思議な分布をしていることでも知られています。建物がたくさん立ち並ぶ都会に生息しているのは関東地方に特有。関西だと暑い夏は共通でも、街中に鳴いているのはクマゼミやアブラゼミが多く、ミンミンゼミをきくことはかなりめずらしいことです。関西でも山林にはミンミンゼミがいるようで、都会に進出とはなっていません。関東地方は巨大な都会ですが、都心部にもかなりいます。東京都心部では近年アブラゼミが減少してミンミンゼミが増加しているといわれています。私の感覚でもミンミンゼミの声のほうがよく聞く気がしています。
理由はいろいろ研究されているようで、1つはミンミンゼミのほうが都会の乾燥に強いということ。夏でもじめじめと蒸し暑いけど乾燥?と思われそうですが、真夏の蒸し暑さではなく冬場の乾燥をさします。冬の気候といえば、日本海側は雪、太平洋側は乾燥した晴れの日が続く、というのが理科の教材でもよく出てくる文面です。冬は数年の間土の中ですごすので、何回も土の中で冬越しをすることになります。乾燥した土はアブラゼミよりもミンミンゼミのほうが強いようです。そのために成虫になるまで生き残れるたくましいセミはミンミンゼミのほうが多くなったとか。
「ミーンミンミンミン・・・」という何拍子ともいえない独特のリズムはかなり耳につきます。アブラゼミの「ジジジ・・」は単調なのでしばらく聞いていると耳が慣れてくるのですが、ミンミンゼミの声は慣れにくく、夜の眠りも妨げます。その音の慣れにくさは都会の騒音の中で、アブラゼミよりもききとりやすく、メスに気付かせる、そんな生存戦略かもしれません。
9月になってもセミは鳴き続けますね。夜はセミよりもコオロギの声で静かに過ごしたいものです。
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