桑名正和(くわなまさかず)

ヒマワリがつける2種類の花

2023.08.11

 青空にまぶしい日差し。
 高くのびるヒマワリは、まさに夏といったかんじです。
 

 今回はタイトルに「2種類の花」としたのですが、この意味はわかるでしょうか。
ヒマワリの花って1つしか知らない?となりそうですね。
 
 まずはヒマワリという植物についてまとめておきます。
 ヒマワリはキク科の一年草。原産は北アメリカ、種子が食用となったことでヨーロッパで栽培されるようになり1600年代に日本へ、とそんな歴史があるようです。中学受験の理科として勉強するときに、ヒマワリは「脂肪を多くふくむ種子」の1つとしても学習します。ゴマ油のゴマ、菜種油のアブラナとあわせて食用油として用いられた歴史があります。北アメリカ原産ではありますが、人工的に栽培する以外、野生に咲いている姿はあまりないことから帰化植物には指定されていません。
 4~5月頃に種子を土に植えると発芽後、どんどん成長して夏には2mを超えるものも多くあります。

 そろそろ本題へ。

 ヒマワリによらず、花が咲いているということに気が付くのは色あざやかな花びらによるところが大きい、というかほぼ花びらをみて花であることがわかります。ヒマワリの場合、まわりをぐるっととりかこむような黄色の花びらが印象的です。では中央の茶色の部分は何?それがヒマワリの花の大きな特徴となる部分です。
同じキク科のタンポポと見比べてみましょう。

タンポポの場合、中央まで黄色の花びらがつまっているのがわかります。
キク科の植物は1枚の花びらに見える部分が1つの花で、100を超える多くの花が集合して1つの花のように見えて、目立たせることで昆虫を引き付けています。

 ヒマワリに話を戻します。ヒマワリの場合はまわりにぐるっと花びら。タンポポと同じキク科ですから、花びら1枚に見える部分が1つの花です。中央に近づいてみましょう。

 まわりのほうは、黄色く細長いものがのび、中央部分はつぶつぶのようにみえます。
 細長く見えているものは「おしべ」「めしべ」です。ところどころ、先端が2つに分かれています。
こちらはタンポポも一緒で「めしべ」の先が2つに分かれています。つぶつぶになっているのは「つぼみ」の状態です。ということは、花びらがない部分も「花」ということです。

こちらは中央のほうまでだいぶつぼみが開いた状態です。
こう見るとものすごくたくさんの花をつけていることがわかりますね。
花がさきおわったら、中央部分にぎっしりと種子をつけます。
1つの大きな花に見えている部分は「頭花(頭状花/頭状花序)」と呼ばれており、この中に1000~2000の種子をつけます。1つの花に見えている中に1000をこえる花をつけているということです。

2種類の花の意味がわかったでしょうか。
ヒマワリは外側が「花びらをつける花」、内側が「花びらのない花」で2種類を同時につけています。花びらは昆虫に気付かせるためのものですから、すべての花に花びらをつけなくても十分に目立っているわけですね。

 遠くから眺めて夏をなんとなく感じるヒマワリですが、近づいてみると違った発見がありそうですね。
 

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