黒田裕史(くろだひろし)

“強調って、結局は伝えたいこと”

2023.03.25

こんにちは。英語担当の黒田です。
公立高校の入試も無事終えることができましたので、ブログも再開したいと思います。
オスカー・ワイルド作『幸福の王子』の一節より最終回です。

本日紹介する一文は、

“It is not to Egypt that I am going,” said the Swallow. “I am going to the House of Death. Death is the brother of Sleep, is he not?”
(「行くのはエジプトではありません」とツバメは言いました。「私は死の館へ行きます。死は眠りのきょうだいのようなものでしょう?」)

エジプトに行くはずだったツバメが王子とともに過ごし、王子と一緒に死を迎えるときに発する言葉です。最後にツバメは王子とともにいることを選んだのですね。

この一説の最初の文。 “It is not to Egypt that I am going.” は強調構文です。
強調構文は、強調したい語句を it is … that の間に移動させて、文をつくります。ですから、この英文では “to Egypt” を強調しているということになります。強調構文を用いなければ、 “I am not going to Egypt.” という文です。

では、強調構文が用いられている場合と、用いられていない場合では、文から受ける印象はどのように異なるでしょうか?

“to Egypt” が前に出てくる方、すなわち、強調構文の方が、「エジプト」ではない!という気持ちが強く感じられますね。ツバメの「エジプトには行かない=あなたとともにいる」という気持ちが強く伝わってきます。

ここまで数回に渡り、ワイルドの『幸福の王子』を題材に、「伝えたいこと」をどのように読者に伝えるのか?そのために、作者がどのような表現を用いているのか?をお伝えしてきました。
これをきっかけに、皆さんも英文や洋書を読む際に、英文から作者が伝えようとしていることを読み取るために、用いられている表現にも注目してくださると幸いです。英語を感じてみてください。

前回の記事はこちら

 

 

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