熊代大地(くましろだいち)

リンスタ生の質問コーナー1 アノマロカリス

2023.04.28

はいどーも!熊代です。

 

新年度ということもあり、リンスタ生の皆さんに
「生活の中で疑問に思ったことをブログで答えてあげるよ!」
と呼びかけております。

生徒の皆さんは引き続き、宿題の提出とともに質問をくださいね!

さて、呼びかけてすぐに、チャットで届いたものから始めたいと思います。

「アノマロカリスについて教えてください!」
By 中2最難関高校入試対策コース A・Sさん

カンブリア紀最大のモンスター。アノマロカリス。
私が小学校のころに、古代生物への興味が加速した思い出のある生物でもあります。

古代生物は、見た目やその特徴から、ストレートな名付けをされているものが多いです。
 トリケラトプス → 3本の角を持つ頭
 プテラノドン → 歯をもたない翼
 ティラノサウルス・レックス → 暴君トカゲの王
こんな感じです。

ポケットモンスター最新作で登場した「古代のポケモン」たちも、
同様の名付け方がされていますね。
 イダイナキバ、サケブシッポ、ハバタクカミ、ツバサノオウ(コライドン)などなど。
このあたりがとても印象的なゲームですよね。
さすがは20年以上も続く、日本を代表するゲームの一つですね。

 

それはさておくとして。
アノマロカリス(Anomalocaris)は「奇妙な(anomalos)エビ(caris)」という意味があります。

確かに甲殻類らしい見た目をしていながら、
エビとして認識するにはちょっと複雑な構造をしていますよね。

 

そんなアノマロカリスたちが生きていたのは、恐竜が闊歩した時代よりもずっと前。
いまから約5億年前の古生代カンブリア紀です。

この時代は、長い地球史のなかでも最も生物の「多様性」があった時代です。

 全身にたくさんの長いトゲをもつミミズのような姿をしたハルキゲニア。
 5つの眼球とゾウの鼻のようにのびた触腕がおぞましいオパビニア。
 「歯の生えた謎」という意味の名を冠するオドントグリフス。
 無数のトゲが生えた丈夫な脚が10対あり「歩くサボテン」と呼ばれるディアニア。
 1つの大きな複眼をもち、
 エイリアンとロボットを足して2で割ったような姿の微生物、カンブロパキコーベ。
 あらゆるセキツイ動物の祖先と言われる、泳ぐナメクジ、ピカイア。
 エビに近い生き物だと認識されたために「カリス」とつくが、
 のちにイカに近い仲間だと研究が進んでいったネクトカリス。
 そして中学理科でも基礎知識として登場する人気者であるサンヨウチュウ。

現代では妄想の産物のようにも聞こえる見た目の生物が闊歩するなか、
その頂点に立っていたのが、アノマロカリスの仲間というわけです。

カンブリア紀よりもはるか前、地球の表面は海で覆われました。
そしてそのうち、地球は「スノーボールアース」と呼ばれる、
全体が氷で覆われた姿に変貌します。

それまでは、原生生物たちがのんびり暮らしているだけでしたが、
こうなると話は変わります。生物が生きて居られる場所は、
地球上のほんの数%に限られてしまったからです。

そこから1000万年ほどかけて、熾烈な生存競争が発生します。
そこにはもう「食べる・食べられるの関係」である食物連鎖がありました。
すると彼らの選択肢には…
・食べる者
・食べられる前提で個体数を増やすことで対策する者
・捕食者から身を守るために防御力を高める者
・逃げ回るために速くなったり隠れたりする者
などなど、他の誰もが行っていない立場への変貌がありました。

 

これを【カンブリア大爆発】と呼びます。
今から5億4200万~5億3000万年前の遠い昔の出来事ですが、
ここですでに、現代に存在する生物の原型がほぼ出そろったと言われています。

こうして、種の生存において最も適した形が模索され、
あたかも壮大な実験が繰り返されるかのような、そんな時代となりました。
カンブリア紀の海は、大きな実験室であったと言えるでしょう。

そうこうしているうちに、先ほどの「ぼくがかんがえたさいきょうのせいぶつ」のような、
とんでも姿のモンスターたちが誕生したというわけです。

ここで重要となるのは、
カンブリア紀以前の生物にはなかったからだの作りが誕生したことです。

 

それは、「眼」です。

それ以前では、眼を持つ生物は発見されていないといいます。
眼は、捕食者にとっても被捕食者にとっても重要な器官でした。

アノマロカリスも、大きな2つの眼を持ちます。
その眼で獲物を確認し、大きな2本の腕で獲物を捕らえるというわけです。

逃げる生き物たちも、眼で天敵を確認し、防御態勢に入ったり、逃げ回ったりしたことでしょう。

オパビニアのように、多くの眼を獲得した生き物もいましたが、
どうやら「多ければ多いほど良い」という結論には至らなかったようですね。

そう考えると、現代の動物のほぼすべてが「2つの眼」でものを見ているというのは、
この時代の実験結果を数億年かけて継承してきたということなのでしょう。
遺伝子の力、恐るべし。

さて、「アノマロカリス」についての質問から、いくつか話題を挙げてみました。
A・Sさんも、いかがだったでしょうか。

生物の進化の最先端であるカンブリア紀。
叶うのならば、ぜひその世界をこの眼で見てみたいですね。

※ここでのお話は、諸説あるもののいくつかを紹介しています。
 部分的に最新の新説とは異なる内容もあることをご容赦ください。

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