今なお発展する数学~現代幾何学(図形)の基礎~
2022.11.15
みなさん、こんにちは。
リンスタ数学担当 河野 です。
私のブログでは、「数学の歴史」を追う中で、そこから知られる雑学について書いていきます。
さて今日は、数学に通ずる人であれば必ずと言っていいほど聞いたことがある方のご紹介を。
紀元前250年頃に生きたとされる彼の名は… エウクレイデス!!
…聞いたことない??
では英語読みで… ユークリッドさん!!
これなら、聞いたことがある方はいらっしゃるのでは??
彼の記した「ユークリッド原論」は幾何学(図形に関する内容)・比例論・数論などに渡り、特に幾何学については1800年頃までずっと、その正しさが信じられてきました。
しかし19世紀に入ると、ユークリッド原論に記された1つの記述に対して明確に、これが成立しないとする幾何学が認知されます。その記述が、以下です。
『直線が2直線と交わるとき、同じ側の内角の和が2直角より小さい場合、その2直線が限りなく延長されたとき、内角の和が2直角より小さい側で交わる。』
言葉だけだと難しいかも知れませんが、この文章(公準と言われます)が言わんとしているのは上のような図。
どうでしょう?正しいことを言っている気がしません??
ココでどう考えると矛盾するかを書いてしまうのは簡単ですが、読んでくれている皆さんに考えてもらうためにも、控えます。「地球は丸いよね?」とだけ言っておきましょうか。
このような発見があって以降、幾何学は「ユークリッド幾何学/非ユークリッド幾何学」に分けて考えられるようになりました。2000年の時を越えて、人類は新たな学問に辿り着いたのです。
しかしながら、「非ユークリッド幾何学」の誕生は、これまでのユークリッド幾何学そのものやその重要性を否定するものではありません。事実、日本のカリキュラムで言えば、高校生までに我々が学ぶ図形に関する学習は、すべてユークリッド幾何学です。
なおせっかくですからもう1つ、図形に関する発見をご紹介しましょう。
こちらを読んでいる中学生の皆さんは、『作図』の勉強をしたことがありますね?
(中1単元なので、中学校1年生の子はまだかも。)
以下、3つの図形。定規とコンパスだけで作図できると思います??
実はこれら… 1つも作図できないんです。
問題そのものは古代ギリシアで知られていたのですが、「作図できない」という事実が明確に証明されたのも、1800年代に入ってから。
「古き知識をしっかりと学ぶ」ことはとても大切なこと。
でも、それを「常識」として「とらわれてしまう」のではなく、そこから飛び出した新しい何かを見つけ、作れる人に、このブログを読んでくれている皆さんがなってくれたら、嬉しいです!
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