「一般入試」が分かりにくい!ますます複雑化する大学入試
2023.07.07
こんにちは。リンスタ大学受験担当、英語講師の茂神です。
近年、入試制度改革によりますます多様化している大学入試。この春、高校へ入学した皆さんや受験を意識し始めた2年生の皆さんへ向けて、大学入試の仕組みを分かりやすくお伝えします!
まず、大学入試は大きく3つに分けることができます。
1. 一般入試選抜
2. 学校推薦型選抜
3. 総合選抜
今回は1.の「一般入試選抜」について説明します。
「入試=テストで学力を測る」は分かってるけど…?
一般入試選抜とは、学力試験によって入学の可否を判定する最もオーソドックスな試験方式です。皆さんが入学試験と聞いて、イメージするものですね。
しかし、一口に「一般入試」と言っても、国公立大学と私立大学で大きく方式が異なりますし、近年では英検などの外部検定試験の導入、国公立大学以外での共通テスト利用の拡大、大規模私立大学での全学部共通試験の導入など多種多様な試験形式が乱立し、“入試初心者”の高1・高2生の皆さんからすれば、「どの方式で受験するのが良いの?」「自分にはどの方式が向いているの?」と不安になってしまいます。
実を言うと、高1・高2生の皆さんが最終的に「受験方式」を決めるのは「高3の秋」でも全く問題ありません。しかし、予めどのような違いがあるのかを知っていれば、ここからの学習方針や科目選択に大いに役に立ちます!是非最後までご覧ください!
国公立大学は「共通テスト」と「二次試験」の2段構え!
国公立大学志望者は、まず、毎年1月中旬に実施される「大学入試共通テスト」を受験する必要があります。2020年までは「大学入試センター試験」という名称で実施されており、保護者の方や、数年前に大学受験をしたご家族がいる方はその名称に馴染みがあるかもしれません。
共通テストは学習指導要領に沿った出題となるため、試験の難易度は標準的と言えます。ですが、近年では、知識の理解度を確認する問題や、思考力を問う形式が多くなってきています。
また、国公立大学では課される科目数も多く、難関大学では5教科7科目ないし8科目の受験が必要となります。
さらに、出願者が多い場合、共通テストの得点により第一次選抜を行う、いわゆる「足切り」が実施される場合があります。
そして、次に待ち受けているのが「二次試験」。二次試験は2月下旬の「前期」と3月中旬の「後期」があります。さらに一部の公立大学では「中期」日程を設けている場合もあります。したがって、国公立大学受験では、この3日程を利用して最大3校を併願することが出来ます。
しかし、「前期」「後期」のような分離募集方式を廃止している大学も多くなっており、東京大学も2016年度からは前期日程のみとなっています。
「前期」と「後期」、何が違う?
前期と後期で大きく異なる点は2つ。
まず一つ目は募集人員。前期・後期の分離方式を採用している大学では、定員のおよそ80%程度が前期日程に割り振られています。
そして二つ目は試験科目数。前期では3~4科目であることが多いですが、後期では1~2科目で受験可能な大学や、小論文や面接などを課す大学もあります。
一般的に募集人員が少なく、科目も少ないため難易度は高くなります。
さらに複雑な私大入試
私立大学の入試は、基本的に1月~3月に実施され、日程が被らない限り何校・何学部でも受験することができます。また、同一大学の中でも学部ごとに試験日程が設定されるので、大学内の他学部を併願することも可能です。
私立大学の一般入試は大きく以下の3つのパターンに分類できます。
① 個別日程
② 全学部日程
③ 共通テスト利用入試
まず①個別日程ですが、こちらは各大学の学部ごとに実施される試験で、その学部の特色を反映した入試問題が使用されます。例えば、2月12日の早稲田大学文化構想学部と2月22日の社会科学部では問題形式が大きく異なるので、同じ大学とはいえ、別々の対策が必要となります。
次に②全学部日程について。こちらは個別日程に先駆けて設定されることが多く、関東・関西の主要私大では2月上旬に実施されます。全学部日程の特徴は、1回の試験で複数の学部に出願できるという点です(青山学院は一部学部内を除き併願不可)。全学部日程の問題は、文系理系を問わず、すべての受験生が共通に使用する問題での試験となるため、解きやすくクセのない問題形式・難易度であることがほとんどです。ただ一方で、問題が平易な分、合格最低点、倍率ともに高く、「基本的な問題をミスなく解ける能力」が要求されます。
なお、大学によって呼称が異なります。
・明治:全学部統一入学試験
・青山学院:全学部日程
・法政:T日程
・中央:6学部共通選抜
詳細については私大入試の回で説明します。
最後に③共通テスト利用入試。こちらは1月中旬に実施される共通テストの成績で合否を判定し個別試験を課さない入試方式です(大学によっては個別試験を課す場合もある)。国公立志望者は共通テストが必須となっているため、私大を併願する場合、この方式は負担が少なく受験しやすくなっています。
しかし、そもそも共通テスト利用入試は定員の設定が少なく、上位国公立大学の滑り止めとしての受験需要が高いため有名大学であれば総合で80%以上の得点率が必要となります。
さて、ここまでざっと「一般入試」の概要を説明しました。
次回以降、各入試制度の概要から大学別対策まで、さらに詳しく説明していきますので是非お楽しみに!
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