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中学受験 「英語1教科」入試のイマ

2023.04.10


増える「英語」入試 メリット・デメリットは?

小学校の新学習指導要領が2020年度から全面実施されたことにより、小5から英語が教科化されました。首都圏の中学入試でも近年では140校超の中学校で英語入試、英語選択入試が実施されています。

その中でも近年は「英語1教科」の試験を課す中学入試に注目が集まっています。このコラムをお読みになっている受験生のご家庭の中にも、検討なさっている方がいるかもしれません。今回はそのメリットやデメリットに注目したいと思います。

「英語1教科」入試のメリットとは

・英検®など英語関連の資格を持っている場合
各中学校のホームページや説明会では試験形式の説明が行われていることが多いのですが英語入試、英語選択入試についてよく見かけるもの一つが「英語® ○級」相当の難易度である、という説明です。すでに「○級」を取得しているのであれば、受験して合格することを期待できる根拠になるでしょう。

・英語が得意科目であり、かつ、他の試験科目の学習時間を確保するのが困難な場合
英語入試、英語選択入試が本格的に導入される以前の入学入試は、2科目(国・算)、3科目(国・算・理)、4科目(国・算・社・理)で試験科目の設定が行われることが全国的にスタンダートでした。(帰国生入試除く) 試験科目が多いほど本番の入試までに必要とされる学習時間は当然長くなります。特に私立中学校の算数試験では、小学校で学習する教科としての算数の範囲を超える、いわゆる「〇〇算」と呼ばれる特殊算が中心に出題されるため専門的な対策学習が必要になります。社会や理科も小学校で学習する検定教科書の内容よりも更に踏み込んだ知識を求められるため学習量が多くなります。よって、英語以外の試験科目のための学習時間の確保が困難になっている場合は、英語が得意科目といえるのであれば「英語1教科入試」を検討すると良いかもしれません。

「英語1教科」入試のデメリットとは

・「英語1教科」試験の実施校自体が少ない
帰国生試験として「英語1教科」試験を課す中学校は珍しくありませんが、一般試験の中で「英語1教科」試験を課す中学校は決して多くありません。おのずと選択肢が絞られるのは明確なデメリットといえるでしょう。

・難易度が高く設定される可能性がある
もちろん、英語が得意な方が「英語1教科」入試を検討されることでしょう。しかしながら、その難易度が高く設定される可能性があり、英検®2級~準1級レベルの出題が課されることもあります。2級は「高校卒業程度」、準1級は「大学中級程度」という目安です。難度が高い出題内容であることが想像できます。

中学校入学後こそ努力が必要になる!?

英語1教科の試験科目を課す中学校はもちろん、英語選択入試を課している中学校でも、他の一般入試試験では2科、4科といった試験科目を課していることが普通です。また、2科、4科といった試験科目を課す試験での募集人数の方が多くなっていることが一般的です。つまり、英語1教科入試で合格したのち入学するその中学校では、入学生の多数派をしめるのは2科、4科試験の合格者たち、ということになります。

前述のように2科、4科の対策学習に時間をかけてきた入学生たちは、それらの学習のアドバンテージを持っています。また、入学後の学習のスタートラインは基本的に全員同じです。ですから、中学入試合格のために算数の学習に力を入れてきた生徒さんは、中学入学後も数学の学習で優位性を持つことが予想できます。(例…1次方程式の文章題では、旅人算や売買算など、中学入試で頻出する特殊算の知識を活用できる)

もちろん小学生段階で英語が得意である、英検®〇級を持っている、というのも英語学習での優位性を持つことに直結しますが、従来、私立・公立の中高一貫校では「中学〇年生/高校〇年生までに〇級を取得する」といった目標(一般的な学年相当よりも前倒しであることが普通)を掲げさせることが多くあります。6か年一貫教育であるアドバンテージを生かして中高一貫各校が英語教育に力を入れることはもはや「当たり前」であり、新中学1年生時に個々の英語の学力に開きがあったとしても次第にこの差は埋まっていくものです。

よって、語1教科入試で合格し入学したのちは、各教科での日々の学習における努力が必要になると推測できます。また、各定期テストにおける順位(=同級生内での成績序列)を、公表こそしないにせよテスト返却時や保護者面談時に明確に示す中学校も多くあります。また、気を付けたいのが中高接続の内部進学の条件です。中学校時の平均評定で「〇.〇点以上必要」といった条件や、いわゆる内部進学試験が実施され「〇科 合計〇〇〇点以上の者のみ内部進学可」といった条件を設定する中高一貫校も存在します。

この場合、中学入試で測られるのは英語1教科のみの試験の成績だったが、高校進学に際しては複数教科の総合的な成績で判定が行われることになります。「中学入試よりも高校内部進学のための勉強の方が大変だった」「4教科受験で入学してきた同級生の学力が自分よりも高くてその差をなかなか埋められなかった」と振り返る生徒も少なくありません。

「英語選択」入試、2~4科の一般入試も要検討

このように、英語1教科入試にはメリットもありますが、一方で注意すべきデメリットといえる点が少なくありません。中学受験を検討し始める時期や、それまでの学習状況や学習経験にも左右されますが、本当に英語1教科試験にターゲットを絞り込んで良いのか慎重に判断する必要がありそうです。

英語を試験科目とする入試は、英語1教科入試だけではなく「英語選択」入試も存在します。
他教科の試験科目と英語試験を組み合わせる(国+算+英、算+英というケースが多い)試験形式ですが、試験時間や点数配分、難易度の設定は中学校ごとに異なります。ただ、英語1教科入試を行う学校よりも校数は数段増えますので、選択肢を広げることができます。

また、2~4科の試験を課す中学校でもその難易度はバラバラです。中学校ごとの出題の特徴や傾向が存在しており、それらをよく分析して学習に臨むことで、必要な学習時間や学習量を効率化することができる可能性があります。「もう入試本番まで時間があまりないから…」と、英語1教科入試に絞り込む前に、塾などの教育サービス機関にアドバイスを受けることをお勧めします。

英語1教科入試で受験すること検討しているその中学校以外にも、お子さまやご家庭のご希望に合う中学校が見つかるかもしれませんし、入試本番までの限られた時間をどのように活用するべきか具体的なアイディアを受け取れるはずです。

【中学受験 「算数1教科」入試のイマ】についてはこちら

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