【教育コラム】難関高校受験を目指す小学生が身に付けたい力とは?【各教科の学習編】
2022.05.20
最難関高校の合格を勝ち取れる生徒は、いったいどんな勉強をしているのでしょうか。合格者の中には、小学6年生から難関合格を目指して勉強している子もいらっしゃるようです。とはいえ、今の段階から「受験を見据えて勉強しなさい」と言ってもなかなか響かないものです。では、具体的にどのように学習させていけばよいのか、最難関高校を目指す上でどんな力を身に着けていけばよいのか、につきまして、【学習方法編】と【各教科の学習編】と題して、2回にわたりLiNKSTUDY難関高校受験担当佐藤貴典先生にお聞きしました。
【算数】
①算数の基本は計算力!
計算力は「正確性×速さ」で決まります。正確性だけでも、速さだけでも不十分。しっかりと両立できるだけの訓練をこころがけましょう。計算をする際はいつも時間を意識して、「何分でどこまで終わらせる」という目標を設定するとよいでしょう。また、よくある「計算ミス」にも十分な注意をすることが必要です。仮に、同じミスを繰り返しているのであれば、それは「ミス」ではなく内容を理解していない可能性が高いです。そして、正解と不正解を繰り返しているような内容にも注意が必要です。いつも同じ手順で解くことができていれば、いつも正解するかいつも間違えるかのどちらかになるはず。そうでない、ということは手順の理解があいまいな可能性があります。
それでも人間ですので単純なミスは起こりえます。それを防ぐには、自分がどこでミスするのかを認識することです。その問題に出くわしたときに、自分の中で身構え、集中力を高めれば良いのです。過去に慶應女子に合格した中学3年生が、「私、7の段が苦手なので注意しています。」ということを話していました。実際、彼女は7の段の計算のときは、必要以上に慎重に計算していました。さすがに、中学校3年生になって7の段を間違えることはなくなりましたが、小学生の時から意識していたことが伺えます。
②問題文を読むのは1度だけにする
文章題を苦手とする生徒はどの学年にも一定数存在します。そんな生徒でも問題文の意味を簡潔にまとめると、意外とあっさりと解けてしまうことが多いもの。文章をまとめることに不慣れなだけだと言えるでしょう。このような状態を克服するには、日々の学習の中で問題文を『文章のままに考えない』習慣作りが重要です。常に、文章を読み図や表に整理してから問題を解く習慣を身に着けたいものです。とはいえ、図や表に表すことが苦手な生徒も多いです。これは、簡単な問題で手を抜くことが起因となっています。難しい問題の時だけ図や表を書こうとしても、どうやって書いていいのかわからなくなります。図や表を書くときのポイントは、図や表にまとめたら「問題文には戻らない」という姿勢を持つことです。必要な情報を、1つの図にすべてまとめることで内容の理解が深まるとともに、問題を解く時間を大幅に短縮することも可能となります。どうしても問題が解けないときには、もう一度見落としがないか問題文を読み直すのがよいでしょう。始めのうちは、条件を抜き出せていないことも多いかもしれませんが、徐々に慣れてくると問題文に戻ることはほぼなくなります。
③「わかる」と「解ける」は別物!?
算数・数学は「わかる」と「解ける」の間に高いハードルのある科目です。わかっただけでは意味がありません。なぜなら、理解度を測るだけの入試はほぼないのが現状だからです。先生に質問した際も、「わかった」気になり終わりにしてしまう生徒が多くいらっしゃいます。以前、質問した後で、必ずもう一度自分で解きなおす生徒がいましたが、彼女の成績が飛躍的に向上したのは印象的でした。問題の解き直しをした後のノートをぜひ一度振り返ってみましょう。赤で解答を映しているだけだとしたらそれは時間の浪費に過ぎません。「解ける」ようにするもう一つのポイントは、なぜその計算をするのかを常に意識すること。なんとなくで理解していると数字が変わるだけで解けなくなることもあります。割り切れるほうで割ればいいのは、答えが整数でしか表せないときのみである。※要注意単元
Aランク 分数・小数の四則計算/比・割合(当然理解しているものとして進む)
Bランク 拡大図と縮図/場合の数(十分な理解をしておくことで中学生での学習が飛躍的に楽になる)
【英語】
①英語嫌いにならない工夫を
新学習指導要領では、自分で考えて話す力がより求められるようになることが規定されています。自分の考えを英語で発表する場面や、英語でコミュニケーションをとる場面が増えます。英語を発音することに慣れていない生徒は、恥ずかしさが優先してしまい「カタカナ英語」の発音になり、発言の回数も減少する傾向にあります。それを防ぐためにもまずは、英語に慣れ親しむことが重要です。文法的に間違えていても、発音を間違えていても、笑って済ませる環境も重要です。日本人は「英語を話せる」ということに対するハードルが大変高いです。「日本語が得意」といっている外国人と日本語で話をしてみましょう。外国人とわかる発音、イントネーション、文法でも内容がしっかり伝わってくることが多いはずです。
②英単語は英語学習の土台
学習指導要領の改訂により英語の学習に大きな変化があることは先ほども述べましたが、学習する単語数にも大きな影響があるのも特徴の1つです。今までは、高校入試で必要な単語は1200語程度(難関高校入試では2500語程度)と言われてきましたが、これからは2倍の2400語程度に増えます。難関高校ではさらに多くの単語数が求められても不思議ではありません。小学生のうちに身に着けられる単語はしっかりと身に着けてしまう方がよいでしょう。1つ1つの単語の意味を覚えることももちろん重要ですが、学習方法の習得も重要です。ものを覚える作業は個人差が大変大きくまさに千差万別。こうすれば効率的に覚えられるという絶対的な正解は存在しません。だからこそ、自分に合った学習方法を小学生のうちに身に着けておくことが重要だと言えるでしょう。書く、見る、発音する、聞くという4技能をフルに活用し、さまざまな方法を駆使して自分なりの覚え方の型を早期に決めておきましょう。
③検定試験にチャレンジしてみる
中学生になると、受検することはほぼ必須ともいえる英検。実は、高校入試では英検による優遇措置(内申点の加点や、試験免除等)が複数の学校で認められています。小学生から準備を始めても早すぎるということはありません。小学生のうちなら、時間的に余裕がありますので、「楽しみながら」そして「正しい発音や聞き取り」を意識しながらの準備が可能です。さらに、小学生のうちに英検合格という経験をすることで勉強に自信がつき、より英語を楽しみながら学習することができるようになる。冒頭に述べたように、楽しく英語を学習することが肝要です。
【国語】
①漢字の「読み・書き」をマスターすること
公立高校入試では必須ともいえる漢字の「読み・書き」、東京都立の入試では20点分出題があります。後に回して得なことは何もありません。英単語と同様に覚え方の型を作っておくことが、難関高校合格への近道です。余裕がなければ「読み」から優先的に学習しましょう。読めない漢字があることは、文章を読むスピードを著しく下げる結果になり、他教科の学習にも影響します。難関校合格に必要なことは、今できることを確実にこなしておくこと。繰り返しになりますが、小学生のうちに学習する漢字は小学生のうちにマスターしておきましょう。
②短文をかけるようにする
国語が苦手な生徒の多くは、記述問題に対する抵抗感が強い傾向があります。入試では作文を課されることもあるため文章を書くことへの抵抗感を少しでもなくしておきたいものです。内容もいきなり難しいことを始めるのではなく、まずは日記のように今日あったことをまとめたり、自分が思ったことを簡単に書き留めたりするだけでも構いません。誰かに添削してもらえる環境があれば、積極的に活用したいものです。
③文章を論理的に読む習慣をつける
読書力をつけるために、まずは活字を読み続ける「体力」が必要です。中学生になると読書時間の確保が大変困難になるケースが多いため、今のうちから積極的に読書の時間を確保したいものです。読んだ内容の理解を深めるときにも読み終わった時点での感想をご家庭内で話をすることもよいでしょう。ただし、感想に正解・不正解はありませんので子供の感想を否定しないようにすることを心がけましょう。文章を正確に読み進めるには語彙力も必須ですから、知らない言葉が出てきたときに調べる習慣を合わせてつけておくとよいでしょう。そのうえで、「なぜ?」「どうして?」という問いに答えられるようすることも大切です。問題を解く際には、どの解答を選ぶのか常に理由を考えるということです。国語の問題で丸付けをするということは、解答に丸付けをするのではなく、解答に至る過程に丸付けするということだ、と理解しておきましょう。
【理科・社会】
細かな知識の習得に時間をかけるよりも、理科・社会という教科にいかに興味を持ってもらうかが大事です。興味を持つことで「なぜ?」と感じてもらうことができます。外で遊ぶ、料理をする、工作、科学館や博物館、工場見学、買い物などなど。日常生活の中で理科・社会に関連することを学ぶ姿勢を身につけましょう。
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